哲学と対話に関する研究・執筆
研究の軸は二つあります。ひとつは、メタ哲学の根底にある「哲学とは何か」という問いに、日本における「哲学」概念の歴史的継承と、哲学対話などの学術機関の外で行われる哲学の営みを事例として応答する研究。もうひとつは、哲学対話のファシリテーターが場で何を手がかりに判断しているのかを質的に分析し、実践知を言葉にする研究です。理論と実践を往復しながら、論文・学会発表・教科書や雑誌への執筆として形にしています。

論文「哲学対話のファシリテーションにおけるメタ認知的知識」
日本哲学プラクティス学会誌『思考と対話』第8号(2026年8月刊)に掲載された査読付きの共著論文(大前みどり・文平光子と。筆頭著者)。探究コースの記録映像をもとに、6名の熟達したファシリテーターが対話の場で何に気づき、何を考えながら動いているのかを分析し、その熟達を支える「メタ認知的知識」として整理しました。2024年の学会発表を発展させたもので、ファシリテーターの学びを経験だけに頼らない形にする研究の第一歩です。

書評 マーカス・ウィークス『哲学入門ショートストーリー200』
若手哲学者向けの雑誌『フィルカル』編集部からの招待で執筆した書評(Vol.11 No.1、2026年2月28日刊、pp.348-351)。200の短い物語で哲学の問いに触れる入門書(丸善出版、2025年)を、「哲学とは何か」を研究する立場と、こどもや市民と哲学対話をする立場の両方から読み解きました。専門誌への執筆と一般向けの発信をつなぐ仕事です。

中学校道徳教科書の編集協力
令和7年度から全国の中学校で使われる東京書籍『新編 新しい道徳』(1〜3年)の編集協力者として、こどもの哲学(p4c)の視点から内容校閲を担当。教科書にはp4cの紹介が1ページ設けられています。2020〜21年に科研費事業「現代社会に生きる哲学教育を構築するための理論的・実践的研究」で、小学校高学年向けの道徳授業づくりに協力した経験が土台です。「考え、議論する道徳」を教室で実現する教材づくりに関わりました。

「哲学対話のファシリテーターは何をしているのか?」
日本哲学プラクティス学会 第5回大会(2024年9月、長野県立大学)での研究発表(文平光子・大前みどりと)。熟達したファシリテーターの実践知を分析したもので、のちに『思考と対話』第8号の論文へ発展しました。

シンポジウム「アカデミズムの外で生きる哲学」
上智大学哲学会 第97回大会(2022年10月)のシンポジウム「アカデミズムの外で生きる哲学」に提題者として登壇。今井祐里さん、永井玲衣さん、長谷川里奈さん、堀越耀介さんと、大学の外で哲学を続けることについて話しました。
そのほかの活動
- 2025
- 研究ノート「哲学の本質をめぐる諸立場の整理」『科学史・科学哲学』第28号 pp.80-89 著者
- 2024.09
- ワークショップ「メタダイアローグをやってみよう!」哲学プラクティス連絡会 第10回大会 企画・進行
- 2023.07
- 「教職員による対話の場をいかにしてつくるか ─ 哲学対話の考え方に基づいて ─」『教職研修』2023年7月号 特集2 寄稿
- 2023〜
- 科研費「尊厳学の確立:尊厳概念に基づく社会統合の学際的パラダイムの構築に向けて」(23A103) 研究協力者 研究協力
- 2021.03
- 「哲学対話で『問う態度』を育み、企業は『組織内哲学者』育成を」『先端教育』2021年3月号 寄稿
- 2020.01
- 「【こども哲学(1)】なぜ『こども哲学』なのか」『教育新聞』 寄稿
- 2020〜2021
- 科研費「現代社会に生きる哲学教育を構築するための理論的・実践的研究」(18H00607) 研究協力者。小4〜6年生対象のオンライン模擬授業に運営・アシスタントとして協力 研究協力
- 2019.08
- 「私が『すてきな三にんぐみ』を薦める理由」『みんなで考えよう』第2号 寄稿
- 2018〜2020
- 科研費「発展途上国における教育開発のための哲学プラクティス」(18K00041) 研究協力者。カンボジアで英語による哲学対話を実施 研究協力
- ・・・など
